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「止めて…欲しかったのでしょう？」
「…。」
「貴女の血を分け与えられた者の末路をよく知る私に。」
「ハジ。」
「でも、私の時とはまるで状況が違います。私には、止める事が正しい選択とは思えなかった。」
「どうして？」
「リクには家族があった…。私には貴女しかいなかったけれど。」
「家族…か。」
「今の貴女には、見捨てられない。私が止めても、きっと貴女は後悔したでしょう。」
「…そうかもしれない…。」
「小夜。まだリクには望みがあります。」
「望み？」
「彼には、科学や医学といった希望がある。ディーヴァ達がＤ67を開発したように、その解毒薬をリク自身が開発出来るかもしれない。彼には、その時間が出来たのです。」
「ハジ…。」
「はい。」
「貴方は…。」
「…。」
「貴方はどうするの？」
「…。」
「もしも本当に、私やディーヴァの血を解毒する薬が出来たら、貴方は…。」
「小夜。私は望んで此処にいる。貴女の傍に。それが答えだ。」
「でも…貴方をそんな身体にしたのは私の勝手な…。」
「小夜…まだ記憶は戻っていないのですか？」
「え？」
「私と過ごした日々を…貴女はまだ思い出せない？」
「そんな事。」
「ならば、その質問はすべきではない。」
「ハジ…。」
「私は今、此処にいる…。貴女を愛した事を、後悔などした事は無い。」
「…ハジ…。」
「だから、小夜。今は未来を信じましょう。きっと、新しい運命の扉は開かれる。リクの手によって…。」
「ハジ…私は…今も貴方に愛される資格があるの？」
「小夜。」
「貴方の運命をこんなに狂わせて、貴方にあげられるものなんて、私には何も無いのにっ。」
「…小夜。私は沢山のものを貴女にもらっていますよ？」
「え？」
「貴女と過ごしたジョエルの城での思い出、貴女と二人で歩いた街並み、眠る貴女の傍らで過ごす静かな時間。それは、貴女がいなければ手には入らなかった至福の時だ。」
「…ハジ…私は…。」
「私は、貴女のすべてを知った上で、それでも貴女を愛さずにはいられなかった…。だから、これは私が望んだ運命なのです。」
「…ごめんね…私を…赦してね…ハジ。」
「小夜。貴女は笑っていて。私には、貴女の笑顔がすべてだから。」
「ハジ…。【最期】まで私の傍にいてね。ずっと…傍に。」
「ええ。私は【最後】まで貴女の傍にいる。決して離れない。」
「ハジ…。」
「小夜。少し眠った方がいい。ずっと傍にいるから。」
「うん。あ…。」
「何？」
「…あのね…。」
「？」
「ハジ…腕枕して。」
「…クスッ。変わらないですね、小夜。いいですよ。貴女の望むままに。」
「ありがと。」
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