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「どうしよう…。」
どうしよう…どうしよう、どうしよう、どうしよう。 どうしたらいいの?
『友達なんて…そんなの…また買ってもらえばいいんだからっ!!』
何て事を言ってしまったの。 どうしてあんな事を…。
「どうしよう…。」
ハジ…違うの。 私、そんな事思ってない。 思ってないよ、ハジ。
ハジの部屋の扉が開かない。 今まで一度だってそんな事無かったのに。 きっと傷ついたんだ。 怒ってるんだ。
『友達なんて…そんなの…また買ってもらえばいいんだからっ!!』
あんな事言ったんだもの、当たり前だ。
でも、悔しかったの…。 だって、アンシェルが言ったのよ。 ハジは色々な姫達から毎日お誘いの手紙をもらってるって。 とっても綺麗で、とっても大人で、みんなみんなハジに夢中だって。 この前の舞踏会の時だって、姫達はみんなハジとダンスをしたくって取り合ってたって。
私…この城からは出られない。 ハジと一緒に舞踏会にだって行けない。 だって私は人前に出ちゃいけないんだもの。 私は普通じゃないから…。 だから…。
私の知らない世界で、私のハジが、私の知らない姫達と何を話し、何をしているのか。 不安で不安で堪らないの。
ハジ、もしかして好きな人が出来たの? だから、私の事避けてるの?
ずっと一緒だったのに。 いつも傍にいてくれたのに。
あの声変わりの頃からだ…。 ハジが私の事を避けるようになったのは。
「ハジ…ハジ…どうしてなの…。」
好きな人が出来たなら言ってくれればいい。 私の事が嫌いになったなら、そう言ってくれればいい。 無理して優しくされたって、私は少しも嬉しくないのに。
どうしたらいいんだろう…。 謝りたいのに。
ハジ以外のお友達なんていらないって。 ハジさえ傍にいてくれたら、それでいいって。 ちゃんと伝えたいのに…。
「…雨? いつから…。」
私の心みたい。 凄い雨。
「雨…あ…そうだ。」
そうだ。 もしかしたら…。 もしかしたら、ハジ。
思い出してくれるかな。 きっと思い出してくれるよね?
ハジ…。
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