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職場の後輩が結婚退職することになって、送別会に出かける。そこまで近い関係じゃなくて、しぐさとか笑顔とか、感じいいなあって思ってて。そうかーよかったね。 だけどそんな感慨はもはや思いっきりマイナーみたいで、おばさまたちはほとんどワイドショー並みに矢継ぎ早の質問だ。やれ出会いはどこで、プロポーズのことばは何、とか。どこに住むの?えっ、籍を入れる前に同居するの?もしかしてできちゃった婚?さざめく下卑た笑い。あーあ。なんでそうなるかなあ。 居酒屋がひけて、カラオケ屋さんに行った。ひさしぶりだ。最近のカラオケって、プロモビデオが流れるの?アムロ歌ったらアムロがでてきたよ。オニツカもそう。しみじみと画面に見入ってしまう。 ほんとはね。ぜんぜん、来たくなかった。ある意味、それどころじゃなかった。早くひとりになりたかった。私は夕方、いわれない中傷を浴びせられて、ただ笑っているしかなかった。ごまかせ、私。ごまかせ、私。居心地の悪いソファーの上で、ソングブックをぱらぱらめくる。 主賓の女の子が「ハナミヅキ」を歌う。一青窈さんのバラードだ。 …君と好きな人が100年続きますように… これから、遠い街で新しい暮らしを踏み出す彼女に、なんて幸せな歌だろう。夢見るうちが未来、ということ。小さく口ずさみながら、私は、明日から私の身に降り注ぐ孤独を想う。ほんとうは、来たくなかった。歌なんて歌ってる場合じゃないのだ。傷の大きく広がらないうちに、すべきことはたくさんあるのに。 だけど。 たぶん、私はきっと出かける。たとえ私の親が死んでも、何食わぬ顔をして。 悲しみは。私の中にさえあればいい。誰かと分け合うのは喜びだけだ。 さよなら、私。 さよなら、私。 あなたにだって教えない。
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